中小企業向け、従業員100人以下の企業を対象にした確定拠出年金制度
平成28年6月3日に確定拠出年金法等の一部を改正する法律、すなわち確定拠出年金改正法が公布されました。この法律の公布日から2年以内で、政令が定める日から施行となりますが、企業年金の普及、拡大措置として、従業員100人以下の企業を対象とした制度が始まります。
どちらも従業員100人以下ですから、中小企業を対象としています。確定拠出年金と言えば、とかく大企業向けと思われがちなのですが、そのような企業であっても、従業員の老後のために準備できるようにということなのでしょう。
ひとつは、簡易型DC制度であり、もう一つは、個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度です。
どちらも施行日が、平成28年6月から2年以内となっているので、遅くとも平成30年6月には始まります。
簡易型確定拠出年金制度
まだ政令、省令、施行規則などが出ていないので、概略しかわかりませんが、簡易型DC制度は、とかく複雑で面倒だった設立時の書類を簡素化し、行政手続きを金融機関に委託することが可能となっています。
委託ですから、金融機関に手続きをお願いしてしまうのですね。
書類としては、運営管理機関契約書や、資産管理契約書などの設立書類を半分以下に省略できることになります。
ただ、これは私個人の感想ですが、運営管理機関との契約書も入っていますから、金融機関に本当に丸投げでいいのか、金融機関の有利なように契約書がなっていないか、気をつけておくべきことが入っていないかなど、弁護士さんに見てもらうなどしておいたほうがいいように感じます。
会社対会社の契約書ですから、面倒な作業かもしれませんが、完全丸投げでいいのかなぁという思いもあります。これも政令等が出たら、その点を担保できるような内容になっているのかもしれませんから、杞憂かもしれませんが。
個人型確定拠出年金への小規模事業主掛金納付制度
つぎに、こちらの個人型確定拠出年金への掛金納付制度です。これは、従業員が入っている個人型確定拠出年金に対して、事業主が追加で掛金を拠出が可能となる制度です。
上記の簡易型DCは、あくまでも企業が設立時手続きを行うなどして企業が作るのに対し、これは従業員が個人として加入している確定拠出年金に会社がお金を出すものですから、簡単といえば簡単です。
それに確定拠出年金自体は、従業員の運用次第で結果が異なる制度なのですが、企業型と違い、さらに個人型確定拠出年金は、個人(この場合は従業員)が、確定拠出年金に加入しようとする金融機関自体を選ぶことができます。
ただ、従業員の中には、個人型確定拠出年金に入っている人もいれば、入っていない人もいるわけですから、そこは就業規則に決めるとか、別途、規約を決めるとかして、従業員に周知しないといけないでしょう。
あの人はいいけど、この人はダメということでは認められないはずです。
これも施行まで年数があるので、詳しいことはこれからわかってくる部分がほとんどかと思います。