芝生の緑

最近、よく聞く樹木葬。
気になっている人もいることでしょう。

樹木というけど、森の中へ還るなど、なんとなく自然に戻るようなイメージがあるけれど、どのようなものなのだろうか。

 

樹木葬とは、墓石のかわりに樹木を目印にして、そのまわりの地中に遺骨を埋葬するものです。樹木、芝生、草花を墓標にします。遺骨は骨壷や麻袋に入れて埋葬されます。墓石より安価で、自然との共生として人気になっています。

そのため、自然に還る、自然の中で眠るとして探している人が増えています。墓地、というイメージの場所よりも木を目印にして自然に帰りたいという願望を持つ人は多いようです。春には新芽が芽吹き、秋には枯れ葉が落ちてという循環がまさに生命の循環です。

 

樹木葬は、自然に還るというイメージや墓石が不要ということから低価格と思われがちですが、意外とお値段がかかるもの。さらにプレート代がかかるなど費用が重なることもあるようです。

 

しかし、対応は柔軟なところが多く、お墓を継ぐ人がいなくても購入可能となっていたり、寺院墓地内でも檀家にならなくても契約できる場合もあって、幾分柔軟な対応となっているところが多いようです。

自分が樹木葬としてイメージしていたものと違っていた、ということもあるので、資料やパンフレットを取り寄せて、内容について事前に、よく読むことが大事です。

 

樹木葬とは何か

樹木葬の墓地は、大きくわけて2つのタイプがあります。

1つ目は、自然に還ることがメインの目的となっている墓地です。「里山型」といわれています。元々は、こちらのタイプがスタートでした。

里山などに墓地として許可を得て、遺骨を埋めて、墓標として木を植えるタイプの樹木葬です。里山の自然をそのまま活かします。自然との共生を謳うわけです。

「お墓」としての使用区分に遺骨を直接埋葬して、つつじややまざくらなどを植えて、その埋葬区画は承継者が引き継げるようになっている墓地もあります。

いわば今までのお墓が墓石ではなく、樹木になっていること、「自然に還る」ことが目的となっているタイプのお墓です。

 

2つ目は、霊園として開発された土地に樹木を植えるタイプのものです。「庭園型」といわれています。霊園の一画にあるので、里山というよりは、今までのお墓に近いです。中には、樹木葬といいながらも、目印となる樹木がない場合もあります。

 

東京都が都立小平霊園に作った樹木墓地も霊園内にある樹木葬です(里山型ではないという意味です)。

 

霊園タイプの樹木葬では、ひとつひとつの遺骨に対して1本の木を植えることもあれば、桜の下のように、シンボルとなる樹木を植えて、そのまわりに遺骨を埋める場合とがあります。1つの木の下で合同葬のようにするわけです。その場合も、プレートが建てられ、だれが眠っているかわかるようにするというようになっています。

 

樹木葬をする際に、一本一本、木を植えることで、荒れ地を森に戻していこうというものあります。

樹木葬の特徴

森イメージ

樹木葬が人気のわけは、永代供養がついている、宗教宗派に係わらず埋葬できることなど上げられます。樹木葬ではたいていの場合、宗教を問わずできるようになっている霊園がほとんどです。

 

墓石といいますと、先祖代々の墓と書かれているでしょうが、墓石と違う点として、樹木葬では区画を引き継げる場合を除いて、お墓を代々継承していく必要がありません。

 

そのために、最近は家族、親類、すなわち、遺族の負担が少なく済むということで選ばれるようになってきました。

お子さんのいないご夫婦や独身の人でも選びやすいとされています。LGBTの人にも安心して眠れる場所と言えるでしょう。

先祖代々の墓ということから、核家族化によって、夫婦で墓に入る、個人個人で墓に入るという考えも増えてきています。

 

後継者が不要であること、墓石に比べて低価格であることなども人気だといわれています。
芸能人の方も樹木葬を選んだ人がいるということも背景にあるでしょう。

さらには核家族化、地方の人口減少でお墓の管理をしてくれる人がいなくなっていることもあるように感じます。

 

樹木葬では、代々管理をする必要やお墓を代々継承していく必要がないので、お墓の後継ぎがいない、お墓の管理をする人が不足しているということを解決してくれるということで注目をあびているのです。

樹木の管理は霊園や寺院が行うので、承継者を必要としない永代供養としてのお墓であることがほとんどです。寺院の場合であっても、樹木葬は檀家にならなくてもいいということも人気のひとつでしょう。

永代供養墓については、こちらの記事です。

 

樹木葬では、最初から、他の人の遺骨と合葬するなど様々です。

 

樹木葬の納骨方法は、

遺骨をそのまま納骨

木の下に撒く方法

土に還る素材の骨壷に入れて納骨

琉球ガラスを使用した骨壷を使う方法

ステンレスの骨壷に入れて納骨

自然にとけるタイプの袋(麻袋など)に入れて徐々に土に還るようにする方法

など方法は様々です。

先ほども書いたように、個人用としてのほか、夫婦や家族で区分けして入れる樹木葬墓地もあります。

 

樹木葬の購入費用はいろいろで幅がある

先ほどから書いているように樹木葬は様々なやり方があります。

樹木葬というと自然に還るイメージがありますが、必ずしも土や自然に還るわけではなく、土に還らないタイプの素材で作った骨壷に入れて、自然に還らないケースもあります。

 

料金についても、名前を入れたプレートなどは別料金になったり、目印として置いてある石やタイルなどの墓標が金額によって差があることも。

家族2人、3人くらいになると、墓石を建てる一般的なお墓よりも費用が高くなる場合もあります。

一人、1家族ごとに区画が分かれていて、1本の樹木を墓標にするタイプの「個別型」

シンボルになるような大きめの樹木を中心に植えて、そのまわりに一人、1家族で区分している「集合型」

多くの人の遺骨を一緒に埋葬する「合祀型」があります。

合祀とは骨壷から遺骨を出して、他の人の遺骨と一緒に埋葬することです。

 

さらに最初は区分した場所に埋葬しながらも、一定期間を過ぎると骨壷を取り出して、合葬墓に移すという場合もあります。

また、寺院墓地内の場合は、檀家にならなくてもいいが、協力が必要なこともあるので、樹木葬と一口に言っても様々です。

 

このように管理方法、費用、先ほども書いた納骨方法も様々なので、値段は一律にいえません。ですが、一応目安としては、先に書いた「個別型」が30万から100万円、「集合型」が20万から80万円、「合祀型」が10万から20万円となります。

 

一般の永代供養墓と同じく霊園や寺院が管理

最近では、もう出身地に帰らないからと、現在、出身地の地元にあるお墓を引っ越しして、改めて埋葬する「改葬」の手続きをした人や、今あるお墓から遺骨を全部取り出して、お墓を更地にして(「墓じまい」といいます)永代供養墓に埋葬する時に、永代供養墓ではなく、樹木葬を選ぶという人も増加しているそうです。

 

樹木葬を選ぶ人は年々、増加しているとのことです。

そのことが少しわかるのは、東京都の霊園の抽選状況です。先ほども書いた小平霊園も含めて霊園抽選結果が東京都のサイトに載っています。

 

平成30年度 都立霊園公募受付状況と公開抽選について|東京都

平成29年度の樹木葬霊園の倍率は、9.4倍、平成30年度の樹木葬霊園の倍率は7.9倍になっています。一般の埋葬施設では、5倍程度なのに対して倍率は高いです。

鎌倉新書の調べによると、「2018年にお墓を購入した人のうち一般墓を選んだのは41%で、樹木葬が30%、納骨堂が25%だった」とのこと。
想像しているよりも、樹木葬が増えている印象ではないでしょうか。

 

都心では一人ひとりの墓地面積の確保が難しいという問題があります。

先祖代々の墓よりは、比較的小さい規模でも埋葬できることも利点のひとつでしょう。

 

樹木葬のメリット・デメリット

今までは主にメリットを中心に書いてきました。

一部の例外的にお墓として継承者できるタイプ(墓石ではなく目印となる木々を植えるが)のお墓以外は、継承者も不要です。

今は子どもがいて継承者がいても、先々のことがわからない、子どもや孫にお墓のことで悩まなくてもいいようにしていなどあるでしょう。自分が墓守を押し付けられたので、子どもに同じ思いをさせたくないという人もいます。

 

  • 墓石を建てなくていいので、その分の費用が少なくてよい
  • 年間管理料を必要としない墓地もあるので、費用全般が少なくてすむ
  • お墓の区画面積が少なくてすむ
  • 霊園などによってはペットと一緒に埋葬できるところもある
  • 寺院の場合でも檀家にならなくてよい
  • 自然に還るイメージがあり、墓地の持つ暗い場所というイメージが変わる

これらがメリットとして上げられます。

 

デメリットとしては、

  • いったん樹木葬として埋葬すると改葬できないことが多い
  • あとになって、気が変わって墓石のお墓を建てたいとしてもできない場合がある
  • 親族の中には、難色を示す人もいる

 

選ぶときは、

永代供養をしてくれるのかなど管理体制に注目したいものです。

霊園の管理体制ですね。多くの人の要望では、継承者の心配をしないでもいいこと、永代供養をしてもらいたいという願いです。

遺骨を埋葬したら、家族の分も追加して埋葬してもらえるのかもポイントにあげる人もいます。

 

中には、墓地としての許可を得ていないのに、その土地に散骨して、樹木を植えるということで霊園にしている業者もいるとのこと。

墓地としての許可を得ていないのですから、将来、墓地以外に転用されるおそれがあります。

東京都のように公的機関が開発しているのならともかく、民間の業者の場合、樹木葬を選ぶ時は、墓地としての許可がおりている場所なのかも確認する必要があるでしょう。