蓮の花

 

永代供養墓(えいたいくようぼ)という言葉を聞いたことがある人も多いことでしょう。

一体、どのようなお墓なのだろうか、

なんだか誰も管理や供養をしてくれないような寂しいイメージがあるけれど実際はどのようなのだろうか。

一般的なお墓よりも安いのだろうかと、気になることも多いでしょう。

最近では、墓じまいをした人や、お墓の引っ越し(改葬)をした人が、その先祖代々の遺骨や両親の遺骨を改めて、永代供養墓に移すこともある、と聞いたことがあるかもしれませんね。

 

永代供養墓とは、お墓のシステムで、一般のお墓を買うにはお墓を継いでくれる人(承継者)が必要ですが、承継者がいなくても購入できます。生前からでも契約できるお墓です。

後継ぎが不要、子どもに迷惑をかけないですむなどから注目されるようになりました。

 

供養という言葉が、仏教用語なので、永代管理墓という場合もあります。ここでは、永代供養墓を永代管理墓も含めて説明します。

永代というからには、寺院や霊園の管理者がずっと長く供養してくれるのだろうなと思っているでしょう。しかし、永代供養墓は、永代もありますが、ある一定期間(10年とか33年など)を決められていることが多いです。

 

世の中には、先祖代々の墓があるので、どの家も何百年も同じ墓を使ってるようなイメージがありますが、実はそれほど多くないそうです。

明治以降の家制度のもとで、墓を継ぐようになって来たことが背景にあります。その時でも、日本はまだまだ土葬が多かったのです。明治後期でも火葬の普及割合は都市部で9%程度だったということです。

平安時代から一族で使っている墓というのは、一般の人なら聞いたことがないかと思います。

それでもお墓を継ぐ人はいるのかどうか、管理をしてくれる人がいるのかどうかは今の世の中、「終活」で考えておくべき問題です。

永代供養墓と永代供養と無縁墓

さて、以前にもお墓の改葬の記事で書きましたが現在、無縁墓の問題がクローズアップされています。

無縁になる前に、遺骨を移したり(改葬)、墓じまいとして整理することを考える人が増えています。

その時のブログ記事>>お墓の引っ越し(改葬)について

2013年に熊本県の人吉市が市内の墓地を調査をしたところ、4割近くが無縁墓だったということがわかり衝撃を与えました。

青森県のある霊園でも、無縁仏として無縁塔に安置される遺骨が過去最高になったそうです。

 

誰も故郷に還らないなどで、お墓が放置されて、寺院や霊園のほうでも親族と連絡が取れないような問題が発生しています。

中には、親の世代と違う宗教を信仰したためにお墓を継げないということもあるのかもしれませんが、多くは故郷とつながりがなくなってしまっているということが大きいと思います。

お墓の管理をしてくれる人がいなくなり無縁墓として処理されるくらいならと、永代供養墓に入りたいという人も増えているのです。

お墓を継ぐ人がいないという問題は大きいのです。

さらには、最近では葬儀を行ったもののお墓が買えなくて、自宅に遺骨を置いたままという人も増えているそうです。

すでに先祖代々の墓があって、故郷にお墓を継いでくれる人がいる、というのなら、話は簡単でしょうが、難しいのは「お墓がない」場合です。

 

お墓がない場合、お墓を継ぐ人がいれば一般的なお墓をこれから考えればいいのです。

先のことはわからないですが、子どもが次いでくれるのなら一般的なお墓を考えてもいいのです。

 

では、お墓を継ぐ人がいない場合はどうするか?

そのようなお墓を継ぐ人がいないと考えている人たちが買っているのが、「永代供養墓」となります。

お墓を継ぐ人がいなくても自分たち代わって、墓地の管理者が遺骨を管理、供養してくれるのが永代供養墓(または永代管理墓)だからです。

 

永代供養墓は先ほども書いたように仏教だけのシステムではありません(その場合は、永代管理墓と言われる場合もあり)。霊園自体が宗教不問であっても、供養のやり方が仏式という場合もあります。

 

永代供養墓と永代使用とは違う

最近では、永代供養墓は、生前からの申し込みも多くなり、樹木葬の記事でも書きましたが、永代供養を前提としている樹木葬の墓地も多いです。

樹木葬の記事はこちら>>樹木葬の値段とメリットとデメリット

 

さて永代供養墓のことの前に言葉の確認です。

永代供養墓とともに永代使用とか、永代使用料がかかるなど聞いたことがあると思います。

 

墓地を購入する時、「永代使用料」を払います。
これは、これから家族代々にわたり、墓地の区画を「使用する権利」を得るための料金です。

以前にも書きましたが、お墓の費用は、3種類です。

「墓地使用料(永代使用料)」+「墓石・工事費」+「年間管理料」

この3つです。

墓地使用料ともいわれるのが、永代使用料です。墓地の区画を使用する権利に対する料金です。不動産のような所有権ではないので、転売したり、譲渡することはできません。ちなみに、永代使用料は消費税がかからないことになっています。

 

使用権ですので、お墓の継承者、お墓を継ぐ人がいなくなり、年間管理料を支払えなくなったら、無縁墓になってしまい、この使用権は消失することもあるのです。

すなわち、「永代使用」とは、お墓を永代にわたって使用することです。あくまでも使用できる権利に対してお金を払うということです。

 

一方、「永代供養」は、寺院や霊園が永代にわたって遺骨を管理して供養することです。お墓の形や納骨方法のことではなく、供養や管理を永代にわたって行ってくれるということです。

この永代供養は、文字通りの「永代」とは限らないのが特徴です。

三十三回忌、五十回忌など一定の期間が過ぎると合祀(骨壷から遺骨を出して、他の人の遺骨と一緒に埋葬すること)されることもあるのです。

 

まずは、言葉の意味のとり方が違っていたら、話も違ってきますので、ここを確認しておきましょう。永代使用なのか、永代供養のことなのか。

そのうえで、家族との話し合いも必要になるでしょう。永代使用料は払えるが、年間管理料は先々のことを考え、自分自身が独身だとか子どもが独身のままだとかで払いつづけることができないかもしれない、ということなどです。

 

さらに自分では、お墓は不要だ、お墓はいらないと思っていても、残された遺族にとってはお墓参りをする場所がほしいかもしれません。

その場所にいけば、故人と話ができる場合と思っている場合もあるのです。

 

永代供養墓の種類

蓮の世界

永代供養墓には大きくわけて、3つの種類があります。

遺骨を骨壷から出して、多くの人と血縁関係を超えて一緒にひとつの納骨室に納める方法の「合葬墓」

納骨室は個別となるが、それらを集合させてひとつのお墓にする「集合墓」

個人または、夫婦で専用の場所に埋葬される「個人墓」

があります。樹木葬でも利用されますし、納骨堂の場合もあります。

 

この個人墓の場合、埋葬できる人数が決まっていて最後の納骨が済んでから、一定期間後に、「合葬墓」に移されることになっています。

ここでは3つに分けましたが、厳密な定義があるわけではありません。

最近は、永代供養付きの一般墓もあります。自分に後継ぎがいないけれど、両親の遺骨は一般墓に納めて供養して、自分も最後はその墓に入るが、その時に永代供養付きにしてもらたいというタイプです。

「承継者不要の使用期限付きお墓」ということなら、お墓を継ぐ人がいなくても購入できます。

この一般墓は、使用期限が5年、10年、33年、50年のように決められていて、その使用期限が過ぎたら、遺骨を取り出して、永代供養墓に納めるという方法です。

 

永代供養墓の費用の目安

合葬墓は、10万から30万円、

集合墓は、30万から100万円

個人墓は、50万から200万円

以上が目安になります。探せば、数万円からのところもあるようです。かなり金額の幅があるのが特徴です。また最近は、費用が安いこともあって、合葬墓を選ぶ人が増えています。

金額の違いに幅があるのは、一口に永代供養墓と言っても、遺骨の納骨方法(お墓の形態)永代供養の期間の長さや管理方法、施設の設備、供養の方法などに違いがあるからです。

契約時に使用料と永代供養料を払えば、年間管理料が不要のお墓、契約者が生きている間は、年間管理料が必要なお墓なども違いがあります。それで、これだけ金額に幅があるのです。

 

供養については一周忌、三回忌を個別にやってくれるタイプあれば、合同となる場合もあります。

寺院や霊園にもよるのですが、年に1回お盆にやったり、年2回春や秋のお彼岸などに定期的に合同供養を行うことが多いようです。毎月、僧侶による合同供養を行っているところもあります。

合同供養が有るのか無いのか、その回数についても契約する前に確認しておきましょう。

納骨方法も骨壷や骨袋にいれて個別に納骨する方法、他の人の遺骨と一緒に混ざってしまう方法などあります。

中には無縁仏の永代供養墓の中に一緒に合葬納骨するタイプもあります。

このように永代供養墓と一口に言っても、かなりの違いがあるので、契約する前に、どのようなお墓になるのか(一般墓、樹木葬、納骨堂など)、永代供養の期間や内容、契約自体の費用の内訳など細かく比較検討する必要があります。

いくつかパンフレットを取り寄せるなどして、最初からひとつに決めず、複数で検討するのがいいのです。

 

ことに単身者の場合、自分の死後を託すということにもなるでしょうから、永代供養墓(場合によっては樹木葬も)でも信頼できるお寺を選ぶことも選択肢のひとつになります。

老後や葬儀、その後の供養の委託についても相談できることでしょう。お寺の住職の人柄にもよりますが、お寺は死後の世界だけでなく、様々な相談にのってくれるはずです。

永代供養墓の選び方

永代供養墓はある意味、お墓の供養管理を長期に全部おまかせするわけですから、信頼できる業者かどうかがポイントになります。

人によっては、生前契約する場合もあるので、その料金や戒名に条件があるのかなどもチェックします。

信頼できる業者であることを前提にいくつか確認ポイントを見ていきましょう。

【永代供養料、管理料】

永代供養料に含まれる料金の内訳。年間管理料が必要なのかどうか

納骨時の法要のお布施が必要か

永代供養料の他に必要となる料金にはどのようなものがあるのか

 

【遺骨の安置方法】

遺骨を取り出して最初から他の人の遺骨と一緒に納める合祀タイプなのか

一定期間は骨壷などで安置した後に合祀するのか

一定期間は安置される場合、何年経ったら合祀になるのか

個別の墓方式か、合同墓なのか

夫婦や家族でまとめてもらえるのか

改葬で先祖代々の遺骨を埋葬する場合、何体まで納めることができるか

 

【墓誌やネームプレート】

名前や戒名を刻むところがあるのか、利用料とは別途料金が必要なら、その料金も確認

 

【宗教や宗派について】

決められた宗教や宗派があるのか

宗派不問の場合、自分の宗派で利用できるのか、それとも改宗の必要があるのか

戒名がなくても入れるのか

檀家になる必要があるのか(寺院墓地の場合)

 

【供養やお参りの方法】

参拝する場合のスペースについて

お花や線香をお供えすることができるのか

供養はどのような宗派で行われるのか(自分の宗派がある人は要確認)

年間の合同供養の回数や内容、お彼岸、お盆などの時期

 

【交通の便やアクセス方法】

自宅からの距離や行きやすさ、最寄り駅からの交通手段

お参りに行きやすい場所かどうか

永代供養とはいえ、承継者が不要というだけなので、遺族が法要やお参りに行くこともあるのでそのアクセス方法

 

永代供養墓には、宗教が自由な場合や供養の方法も様々です。樹木葬の形式や、納骨堂に納めるタイプ、一般墓にあと合同墓に合祀されるなど様々です。

合祀されるまでの期間も違います。

自分の理想となる永代供養墓には、資料を取り寄せて検討する必要があります。