日本家屋

最新情報について追記
下記のブログは、平成25年の数字ですが、平成30年のものが出ています。

統計局ホームページ/平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果

これによると、割合としては0.1ポイントの微増とはいえ、さらに空き家の割合が増えていることがわかります。

「居住世帯のない住宅」のうち,空き家は846万戸と,平成25年と比べ,26万戸(3.2%)の増加となっている。
総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.6%と,平成25年から0.1ポイント上昇し,過去最高となっている。空き家数の推移をみると,これまで一貫して増加が続いており,昭和63年から平成30年までの30年間にかけて452万戸(114.7%)の増加となっている

7戸に1戸が「空き家」という状態です。

国土交通省のPDFによると、活用可能な空き家の数は、全国で約48万戸とのことです。活用可能とは、「駅から1㎞以内で、簡易な手入れにより利用可能な空き家」のことを言います、

https://www.mlit.go.jp/common/001172930.pdf

国土交通省の資料でもわかるように、空き家の所有者は相続などで所有者となったものの、そのうちの3割は、1時間以上かかる遠方に住んでいること(中には、日帰りができない場所)がわかります。

空き家にしたままのデメリットやリスク要因

空き家があるとどんなデメリットが生じるかについては、「管理不全な空き家等による外部不経済は、防災・防犯、衛生、景観など多岐にわたる」として、

「防災性の低下(倒壊、崩壊、屋根・外壁の落下や火災発生のおそれ)、防犯性の低下(犯罪の誘発)、ごみの不法投棄、衛生の悪化、悪臭の発生(蚊、蝿、ねずみ、野良猫の発生、集中)、風景、景観の悪化のほか、樹枝の越境、雑草の繁茂、落ち葉の飛散など」が挙げられています。

「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されていますから、空き家を放置しておいてよい、とはなりません。

行政は倒壊のおそれや法律上問題のある管理不全の空き家を「特定空家等」に指定して、必要に応じて、撤去、修繕、立木竹の伐採等措置の助言、指導、勧告または命令を行うことができます。

特定空家等に当てはまるかどうかは、国によりガイドラインに沿った形で、市区町村で基準を設けています。

『「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針』

「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針について – 国土交通省

さらには、行政は、行政代執行により強制撤去も行うことがきますから、その撤去費用は所有者に請求されることになります。

そのうえ、「特定空家等」に指定されてしまうと、固定資産税の負担軽減の優遇措置が適用されなくなります。

空き家にならない前に考えることもある

「特定空家等」にならないためには、しっかり自分管理する必要がありますが、管理しきれないと思ったら、早めの売却を考えましょう。

空き家を取り壊して更地を売却をすることも考えられるでしょう。解体についても市町村によっては補助が出る場合もあります。

そのほか、賃貸に出すことも解決方法のひとつです。
最近は、親子での信託契約を結ぶことで、認知症になり介護施設に住む親のかわりに、子どもが信託の目的範囲で売却という例もあるそうです。

FPでも話題に出る空き家問題

私のことになってしまいますが、今年、2017年7月で、宅地建物取引士の登録が10年になりました。11年目に入るので、この際、何か自分が勉強してきたことを書きたいなと前から思っていました。

何がいいのか考えていたのですが、今、至るところで空き家問題を聞くようになりました。悩んでいる人も多いのではないかということです。

政府も何もしていないわけでなく、対策を講じているのですが、まだまだ解決とはいえず、問題は広がっていきそうです。

空き家問題に関連して、不動産売却のことを知っている範囲で書いていこうと決めました。

これが宅建士の資格を活かして、情報発信にはいいだろうなと思ったからです。

というのも、不動産を売却するなんてそうそうないことですよね。それも空き家問題がからみますと、時間との勝負です。遅くなればなるほど、不動産が売れなくなります。買ってくれたら「御の字」の状態になってくるんですね。

同様のことが転勤などで自宅を急いで売らないといけない場合もあります。

親が病気で自分が故郷に帰ることになったということもあるでしょう。

人生の中でそうそう機会がないものの、金額が大きなものになってしまう不動産売却について何回かにわけて、コラム的に書いていこうと思いました。

空き家は増え続けている

最初のうちは、売却のやり方などのノウハウ的なことよりも一般的なことから書いていきたいとおもいます。

まずは日本の現状です。

空き家が売却されるようになると、これまた不動産市場に入ってきますが、現状、まだ賃貸にも出していない、売却にも出していないという不動産は増加し続けています。

国土交通省では、昭和55年度よりほぼ5年ごとに空家実態調査を実施しており、調査目的に応じて調査対象・方法の見直しを図りつつ調査を実施している。平成26年度調査は8回目

平成26年空家実態調査 集計結果について – 国土交通省

これを読みますと、相続が原因で空き家になっていることが多いことがわかります。

住宅を取得した経緯は、「相続した」(52.3%)、「新築した・新築を購入した」(23.4%)、「中古住宅を購入した」(16.8%)の順になっている

人が住んでいない、空き家については、これからどうするのかも近所の人を含めて気になるところです。

調査時点で人が住んでいない戸建て空き家等の利用状況は、一時現在者のみ・二次的住宅(昼間だけや週末・休暇時などに所有者等が利用している住宅)が 40.7%、賃貸・売却用の住宅が 11.0%、その他の住宅(物置、長期不在、取り壊し予定の空き家等)が 42.0%

賃貸を予定している戸建てや、売却用の住宅は約1割だけです。

今は、なんとか週末や夏休みなどに利用しているが、どうなるかわからない(最近は別荘を持つ人が別荘を売ろうと思ったら売れなくなったという記事を見かけるようになっています)状態というのが現状でしょう。

「その他」というのが、取り壊しとなるのか、どうかです。物置として利用でも、長期不在となっているでも、防犯面(空き巣が勝手に入るなど)、火災が起きないかどうかも気になるところです。

相続が原因となりますと、中には所有者も決定されていない場合もあります。相続争いがありますと、名義変更もできません。

また、所有者を決定されたとしても相続した本人が都心に住み、地方にある親の実家をそのままにして、処分もしていないということもあるでしょう。

空き家対策特別措置として、「空き家に係る譲渡所得の特別控除」もできましたが、あまり利用されていないと聞きます。

空き家の譲渡所得に関する税制に関してや、特別控除についてはお近くの税理士さんにお問い合せください。

住宅や土地に関する統計は

空き家の数を含め、住宅に関する統計は、5年毎の総務省統計局による調査でもわかります。

統計局ホームページ/平成25年住宅・土地統計調査

「平成25年住宅・土地統計調査(確報集計)」の結果より引用

「平成25年10月1日現在の総住宅数は6063万戸,うち空き家は820万戸で,空き家率は13.5%で過去最高」ということです。

これは減るのではなく、増えていく一方です。

統計局ホームページ/日本の住宅・土地-平成25年住宅・土地統計調査の解説- 結果の解説

統計局ホームページでは住宅・土地統計調査の解説もありますので、こちらも見ておくと現状の把握に役立つでしょう。

家を売る方向ではなく、誰かに貸したい、賃貸を選びたい場合は物件の存在する場所にも注意

余談ですが、駅近くの不動産(マンション、アパート)でないと賃貸用になりにくいことは、この統計からもわかります。

駅まで 1000m以上の住宅が 2994 万戸(57.5%)と住宅全体の約6割を占めている

住宅の最寄りの鉄道の駅までの距離別割合を所有の関係別にみると,「1000m未満」は持ち家が36.2%,借家が 52.3%で,「2000m以上」は持ち家が 39.0%,借家が 23.7%となっており,持ち家の方が借家に比べ駅までの距離が長くなっている。

自分が所有する住宅なら、たとえ駅から遠くても購入ということになるのかもしれませんが、賃貸となると話が違うようです。

もし、現在、所有している不動産を売却ではなく、誰かに貸したい、賃貸用にしたいとなると、駅からの距離も考慮に入れたほうがいいですね。

これから人口が減る日本では借り手が少なくなります。今は、駅から1キロ以上離れていても借りる人がいるのかもしれませんが、これからはわかりません。傾向としては駅から遠い物件ではますます借り手がいなくなる可能性が高いことも頭に置くといいでしょう。